ケータイくんといっしょ (花とゆめCOMICS)

ケータイくんといっしょ
柳原 望
白泉社 (2005/07/05)
売り上げランキング: 451

謎のウイルス“ニムラ”の侵入により、ケータイが人格を持つ!という衝撃の奇病(?)が、密かに拡がり始めた。
ニムラは人間が幸福を感じたときに分泌する物質を食べるので、ニムラに侵されたケータイは宿主の人間を幸せにしてあげようとするらしいが…!?

ケータイが人格を持つ、着想の面白いストーリー。連作短編集です。
まず設定はしっかりしています、ケータイがむやみに人格をもって幸せにするのではなく、自分に必要な物質を得るために宿主を幸せにするのですから、しっかり筋のとおった設定だと思います。理屈がつけられてて好感が持てます。
そしてそのケータイの人格はそのひとの求めている人格を投影したものになると言う設定のおかげで物語を広げやすくもなっていますね。
その宿主の、闇の部分や光の部分を表現するのに影=ケータイくんの存在がこの作品のなかで重要なポジションにありますよね。
他者を認められなかったりとか、客観的に見れなかったりだとか、後悔の念と不安が心にあったりだとか、積極的になれない自分、裏を勘ぐらない純粋な自分。
様々な宿主のこころはケータイくんに投影されています。
そうやって問題をケータイくんと宿主と、二人三脚で乗り越えていく。
設定は突飛でも、内容は心震わせられる。
そんな漫画です。
個性溢れるケータイくんも可愛いですしね。(^^)
ぜひオススメしたい「やさしい良作」です。
これを代原で描いていたというのだから・・・モチベーションは落ちなかったのでしょうか?奥付を見ると一年に一回くらいの間隔なのに。もうそれだけ間が空いたにこれほどまでに完成され計算された作品を生み出せることに感服しました。
それにしても1話と最終話の千井の扱いの差が(笑)すっかりメインキャラですもんね。ブラックから甘〜い色=自分色に染められてHappyEndだったんでよかったですけどね。


著者、柳原望氏のサイト:つれづれやな