戦中派天才少年山田風太郎


「戦中派天才老人山田風太郎」と呼ばれた山田風太郎の少年〜青年時代をフィクションを交えつつ描く。
まずあまり多くないだろうと思われる資料から想像を膨らませたその視点に驚く。著者の高森圭氏は生粋の風太郎ファンのようなのでこのようなことをされたと思うのだが、その労力たるや想像を絶するのではないか。


お話はまず風太郎が中学生のころから始まり、その傍若無人ぶりを描く。
そして第一章は自分は一大伝奇を夢想し、人々を楽しませることが夢の「山田風太郎」という存在であるということを自覚するまでのお話。


物語の骨子は風太郎の心情描写にあり、その繊細たるや感心を覚える。いかに風太郎が考え、風太郎が思ったかとうことがよく伝わってくる。
作画も力が入り過ぎていなく、味わいがあり、そしてアクションシーンや迫真のシーンでは非常にダイナミック。出てくる女性には艶かしさがある。
大西祥平氏をもって「シグルイ」を彷彿とさせる劇画タッチ」と評されている。個人的には前述の作画の感じから伊藤悠のエッセンスがあるかと。


手塚治虫の出てくる遊び心(事実でしょうか?)もあり、ハッタリも効いていて面白く、続きが気になる一作です。
なお、インターネット連載のため高森氏のホームページ:http://www.geocities.co.jp/AnimeComic-Cell/1384/で読める模様です。
同人誌版はタコシェさん、高森氏のホームページでも少数販売しているようですので、気になった方は是非読んでみてはいかがでしょうか?