たけくまメモにて

たけくまメモで興味深い記事を発見。
何何…たけくまさんが講師を勤めている大学の講義の提出で興味深い作品があったらしい。


イカになりたい少年とその少年が好きな少年の話。
なんじゃそりゃ!!
どうみてもBLです、ありがとうございました。


とまぁ行きたいトコですけどちょっと奥さん。
イカになりたい少年」
なんか間違ってますよね?コレ?
そうなんです、イカです、イカ
時代はまさにイカ、BUMPOFCHICKENも推奨、イカ


作品自体は突飛な設定を付加したBLといった感じ、情緒的な絵で繊細。
だけど、物語性としては何を伝えたいのかがわからなかった。
もちろん、今現在では全てのページが公開されていないのでそのメッセージ性について語るのは野暮かもしれないが、現状では分からなかった。(個人的予想は以下反転)
イカになって星をためて城になって空(宇宙)に浮かぶ少年、一方、造船技師になりイカに近づこうとする少年だが、死んでしまって星になる、星は空へと浮かび、やがて空(宇宙)で再会とか?それくらいしか思いつかない…orz
作者の方にはイカを「城」と比喩したり、甥の「イカになりたい」発言からこういった作品を思いつくという感性は天才的なものがあるのかもしれない。
たけくまさんの言うとおり、コマ割も良い。

ただ、一部賞賛してやまない声があるが、私はそうは思わない。
もちろんその「感性」という部分では手放しで褒めるべきだと思う。
しかし、作者はまだダイヤの原石であろう、ネームとして通したときのメッセージ性、娯楽性、まだ足りないと思う。
絵画的にストーリーを捨てて漫画を評論するなら雰囲気なども含め賞賛したい。
だが、ストーリーと画、双頭をなして「漫画」と呼びたい。
(「城」は着想、コマ割り、画と素晴らしいと思うけど、ストーリーにひっかかりが欲しいと思う、でも作品自体はいいと思います。深読みさせられるし。)
そして併せて紹介されている文字だけの漫画、これも着想は素晴らしい、内容もとんちがきいてて面白い。
どことなくデザイン感覚が横山裕一先生と似ている気がする。
だがここでも勿論商業ベースで載せるにはバリエーションの問題なども出てくると思う。


ただ、これらがたけくまメモにとりあげられたという事実は素晴らしいことだと思う。

幸いマンガなら長年の経験で、パラパラっと見れば数十秒で「いいか・悪いか」は判断できます。いいと思ったら、じっくり読むというやり方をとれば、1日で百作読むことも可能です。

さらに言えば、マンガというのは「教えなくても最初から描ける人は描ける」ものなので、とにかくヘタでもいいからなんか描いてくれと言っているわけです。だから僕の採点基準は、最初からウマイ・ヘタには置いていません(明らかな手抜きは別です)。

この「城」を描いたMさんはかなりウマイ方ですが、中には普通に右ページから左ページに読ませるようにコマが配置されているのに、フキダシのネームがなぜか横書き(つまり、左から右に読む)とか、メチャクチャなのがあったりします。マンガのウマイ・ヘタというのは、絵のウマイ・ヘタとは微妙に関係がないので、絵がドヘタでも、コマの構成がうまければ十分面白く読ませることだって可能なのです。

かりにマンガとしてメチャクチャでも、その人なりに考えて描いているとか、工夫が感じられれば赤点にはしないというやり方にしてます。それで今後は、この「城」みたいに、いいのがあれば積極的に外部に紹介していきたいと思っているわけです。

以上、たけくまメモよりの引用だが、たけくまさんの選考の主眼は「工夫」に置かれている。
漫画としての評価よりもどこをどう工夫したか、その努力や才能を見ている。
それはダイヤの原石として生徒を見ているからではないか?
かりに99悪くとも1つでも誇れる部分があればそれは積極的に外部に紹介してその生徒たちに努力して道を切り開いてもらいたい。
そういった老婆心(経験に裏打ちされた繊細な細やかな心)もあるのではないか、たけくまさんの才能を発掘していく手腕にこれからも注目したい、そしてそこから飛躍していく学生さんたちにもおおいに期待を抱きたい。
それにしても数年後、この授業出身の生徒さんは個性の強いクリエイターになりそうだ。