アキバ署! 01 (アフタヌーンKC)

アキバ署! 1 (1)
アキバ署! 1 (1)
posted with amazlet on 05.10.25
瀬尾 浩史
講談社 (2005/10/21)
売り上げランキング: 24,659

昨今の情報通信技術の進歩は誰しもが知っている通り目を見張るものがあり、それでいながらも日本という国家はITITと叫びながらもそこの中に対する監視の目が弱いのが現状である。
クラッカー*1によるクラッキング行為が行われ政府のホームページが改ざんなんてニュースもしばしば。
そしてこの作品はそういったハイテク犯罪に対応するために作られた課の物語。
元不良、肉体派刑事とMIT卒の天才刑事兼ハッカーの2人が織り成す物語。
火と水のような相容れない存在が実は良いコンビとかいうベタな感じでもそのほかでそういう部分のマイナスを補ってあまりある。
たとえば作画。一つ一つのコマも丁寧に書き込まれていて、著者の気合が感じられます。
肝心のお話はというと著作権侵害、動画の流出、詐欺などの事柄が扱われていて、それは漫画の物語でありながら現実の問題とリンクする面が多々ある。
動画の流出、メイド詐欺などは探偵ファイル様などで日々検証、並びに問題提起が行われている問題であったりする。
もちろんこういった社会的問題と取り上げた場合の漫画としての空気は重い物になりがち*2なのだが「アキバ署」では重い中にも、明るさ、楽しさがあり前向きになれる方向性がある。
それはこの作品は社会問題に対するアンチテーゼとしての役割を担うものにはなれないという面もあるが、娯楽作品「漫画」としてのアイデンティティは捨てていない証拠でもあるんじゃないかな。
それだからもちろん漫画としての現実には不可能な事柄があったりだとかするけど、それはあまり深く考えず、目の前に置かれた作品の面白さ、あまねのスキルの凄さだったり、メイドさんに萌えたりしても、それを介して問題意識が若干ながらも芽生えたならば成功だったといえるだろう。
正直著者が問題提起としての一端を意識しているか分からないが私はその部分があると感じた。
だが、それが狙ってるのかシリアスなのかどっちつかず、と思う方もいるかもしれないが私は肯定的に見たいと思う。

*1:不正にコンピュータに進入するハッカーのこと、ハッカーそれ単体では悪ではなく、コンピュータのエキスパートなどという意味がある。

*2:ブラックジャックによろしくなどが典型か。