サナギさん 1 (少年チャンピオン・コミックス)

サナギさん 1 (1)
サナギさん 1 (1)
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施川 ユウキ
秋田書店 (2005/07/08)
売り上げランキング: 6,251

著者、施川ユウキ氏の前作、「がんばれ酢めし疑獄」は周りの評判も良かったのですが、買い損ねたまま完結してしまいました。
んで、氏の新作、「サナギさん」ひそかに期待して待ってました。
中学一年生の望月サナギが同級生と繰り広げる面白おかしい日常生活って感じです。
「すごいよマサルさん」などは非日常(ありえないような状態)の中での不条理ギャグなんですが、「サナギさん」は日常の中での不条理ギャグなんですよね。
フツーはやらないことをやろうとする点は同じですが、その日常と非日常の扱いの落差の激しさが笑いを創っていることは間違いないです。
本当になんともない日常生活なのですがそのなかでどーでもいいことへの妄想を豊かに膨らますと言うか、なんというか、もう日常生活ではなくサナギさんと友達の脳内世界なんですよね。
ともすれば昔は私もこんなこと考えたなぁ〜、と思いがちですがそれはカモフラージュで、その存在で「考えるわけないこと」という意識が薄まっています、それも構成の妙。
しかもその着眼点が可笑しい。

UFOキャッチャーで一番取り易いひらがなは?
扉が閉まりますを扉が引き締まりますにしたらどんどんムキムキになるドアに注意してって感じで嫌。

って、そんな想像しないでしょ普通!並のギャグ漫画じゃそんな着眼点ないです。
そういう着眼点は天才的だなぁと思いますよ。
しかもそれをぱっと見日常生活にしか思えない4コマの中で。
絵柄も可愛く、萌えを意識しているのかとも思えるくらいなのですが、平気でウンコとか屁とか下品な単語が出てきます。そういう媚びて無いトコも好きです。
施川氏の作品についてのお話やあとがきもなんかセンス溢れてます。

フクロウとミミズクの見分け方は頭に耳があるかないかだそうだ。あるほうがミミズクなのだが、あれは耳じゃなくて羽飾りらしい。そう聞くと、なにか「ネコ耳のコスプレ」みたいに見えてくる。もしミミズクがフクロウとの差別化を図って考えたのが「ネコ耳のコスプレ」だとしたら・・・そりゃあ相対的にフクロウが賢く見えるワケだ。何もしていないのに「森の賢者」と呼ばれてしまうのも頷ける。

いや、頷けませんよ。そもそもミミズクはネコ耳という凶器でヲタ受けする必要が有るのか、否。そんな考えに至りかつ頷ける施川先生ステキです、眩しい。
それ以外にもコメントが秀逸。パンダの交尾の準備でパンダのAVを見せるんだけどそのときオスとメスの区別がつくのか。そこまではいいです、本領はここから。

鑑賞中のパンダがもし本番シーンのとき「そっちがオスかよ!ずっとメスのほうに感情移入してみちゃったじゃねぇか!」と思わないか心配だ。

ないです。まずないです。ていうか残念なパンダの描写が嫌にリアル。前世はパンダだったのでしょうか。
それ以外にも天才的な感性が至るところに出ています。
4コマもコメントも食べ残すところが無い、癖になる漫画です。ぜひお試しあれ。
ちなみに私が4コマで1番面白かったネタはシュノーケルでつ。まさかあんなことに・・・(笑)


そんな素晴らしい施川ユウキ氏のサイト:施川ユウキのみすぼらしい部屋(仮)